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休廊日は展覧会により異なります

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持永貞子 あの月の夜に憶う

2023.10.30

2023.10.30

本日は、11月5日(日)から個展を開催される、持永貞子さんの作品についてご紹介いたします。

ガラス作家としてご活躍する持永さん。
コールドワークの一種とされる「パート・ド・ヴェール」(フランス語で“ガラスの練り粉”を意味する技法です。粘土などを使って型を作り、そこに砕いた色ガラスと糊を混ぜて焼成、鋳造するものを指します。古代メソポタミア文明の時代から伝わる幻の技法として、ガラス工芸においては高級美術品とされてきた歴史があります。)による作品を作り続けています。

「TUKI NO YORU NI」と題した、家を象った作品群は、古い絵画や物語の挿絵に出てくる建物や街並みを表したかのような佇まいです。
夢のなかを具現化するかのように並ぶ小さな作品たちは、その反面、ガラスが内包する独特の透明感と、手触りが想像できるような表面の質感に、確固たる物質性が宿ります。
タイトルから想像できるとおり、穏やかな月明かりに照らされた光景が似合うオブジェや壁掛けは、歴史ある技法に相応しい趣と静謐さを讃えています。

そんな持永さんの作品は、昨年の個展の際にもSAG-repo.でご紹介しております。
作品制作の手順などを取り上げておりますので、本記事とともにぜひご一読くださいますと幸いです。
持永貞子 展 2022 エスキース〜原型の作成
持永貞子 展 2022 石膏型でガラスを溶かす
持永貞子 展 2022 脱型〜仕上げ

本記事では、額作品を中心とした今回の展示にあわせ、額作品に的を絞ってご紹介いたします。
実際のガラス作品を焼成した後から、額にするまでの工程について、お話を伺いました。

額の中の風景

今回は額の中に入れるための薄いガラスを焼成したところから、話がスタートします。
すでにガラス作品部分が形となっているため、その後、仕上げを施してから、額の中に配置し、作品を仕立てていきます。

写真や切手、文字が綴られた紙片など。
ガラスのモチーフとともに、コラージュのように額の中に入れ込んでいきます。

しかしこの作業、ガラス作品制作とはまた異なる悩みが生じながらの作業です。

「ガラスと他のものをどのようにセッティングしていくか、いつも悩ましい限りです。
合わせる楽しさももちろんあるのですが、楽しさと悩ましさで考えすぎてしまって、なかなか先に進まないことも多いんです。」

額縁を変更してみたり、配置する建物やガラスのモチーフの組み合わせを変更してみたり。
持永さんの目指す“懐かしさ”や“どこかで見たことのある風景”が、額の色や形も含めて感じられるように探っていく、微細な作業です。

「オブジェでも、額作品でも、テーマとしては一貫しています。
風景(建物)の外観や、その内側に宿る灯火から感じる、穏やかさや懐かしさを、額の中の世界でも表現したいと思いながら制作しています。」

夜の街並みに溶け込む、穏やかな灯りを想起するような額作品です。

小さな窓をそっと覗き込むように。
額の中には、何物からも脅かされない懐かしさと、緩やかに流れる優しい時の灯が広がります。

どこかで見たことのあるような景色は、現実のものか、夢の中のものか、あるいは理想が生み出しているものか。
目を閉じると広がる、あなただけの懐かしい景色を、柔らかなガラスの世界にかざして。
ゆるりと微睡むかのような心地に浸るひとときを、そっと見つけにいらしてください。

持永貞子 ガラス作品展
2023年11月5日(日) ~ 2023年11月11日(土)
12:00~18:30 / 日曜 12:00〜18:00 / 月曜休 / 最終日〜17:00迄

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