
丸橋正幸 × 岡田佐知子 -きらら- 開催中です!
- 制作の現場から
2024.01.17
〒101-0031東京都千代田区東神田1-13-17 森ビル1F
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OPEN 11:30 CLOSE 18:00(最終日17:00)
休廊日は展覧会により異なります
03-6206-0811
2022.11.06
今回は、来年2023年1月29日から個展を開催される、タナカコウシさんの作品制作についてご紹介いたします。
タナカさんは、アクリル絵の具を使用した作品制作をしています。
具体物にも抽象物にも見えるモチーフが、透明感を伴って画面の中心に揺るぎなく描かれます。
これは何を表現しているのか。どういう技法で作られているのか。
早速みていきましょう!
「人間の内面に迫ることを目指しています。」と、タナカさん。
これは、タナカさんが作家として掲げている一貫した制作テーマです。
画面中央に据えられるかたちは、人物の顔や頭をモチーフとしています。
人間が考えているかたち、集中しているかたちを切り取って、止まった感じを意識しているのだとか。
「ダブルイメージとして植物の種や蕾の感じも組み込むこともあります。」
個展の際には、人間なのか、植物なのか、どちらにも解釈できる作品の数々が見られることでしょう。楽しみですね!
具体的な制作過程を見ていきましょう。
はじめに、考えている瞬間の人物をクロッキーとして描き出します。
徐々にデフォルメを加えて輪郭をつくっていきます。
クロッキーでモチーフのイメージを固めてから、作品にかたちを反映していきます。
描き出されたモチーフや白から覗く鮮やかな色彩も、タナカさんの作品の魅力です。
モチーフの切り出し(クロッキー)とは別に、まず色彩豊かな下地を制作します。
「色をタッチとして置くこともあれば、植物や物を描写して色彩を描き出すこともあります。」
抽象的な色彩の連なりでも、題材となるモチーフから色を拝借して描かれているのかと想像しながら鑑賞すると、また新たな視点と楽しみ方が生まれます。
ぜひ下地部分にも注目してみてください!
下地の作業はまだまだ続きます。
お次は、ホワイトとメディウムを混ぜたものを使用して描いていきます。
「先ほど描いた色が透けるように、ホワイトを乗せていきます。」
この際、刷毛で描いた跡やタッチが残るようにしていきます。
さらに、このホワイトの部分をいろいろな素材でデカルコマニー(フランス語の「décalguer(転写する)」に由来する技法で、絵具に上から圧力をかけることで、押しつぶされて広がった絵具等が意図しない偶発的な形となる技法)を施していきます。
テコボコとした質感が、画面上に表現されてきました。
先ほどの下地の上に、モチーフを描いていきます。
クロッキーでイメージを作ってきたかたちをいよいよ反映させていきます。
タナカさんのスタイルの基本は、ひとつの画面にひとり(ひとつ)のモチーフを描くこと。
「画面の中央部に凝縮するイメージで描きます。基本的には画面からはみ出すような構図は、今はとっていません。」
作品のモチーフやテーマ、構図などを伺うと、ぎゅっと凝縮したエネルギーが描かれ、より一層堅牢なイメージが具体性を帯びて表されていることが実感できます。
また、タナカさんの作品の面白いところは、作品の上下が定まっていないということ。
「どちらの向きで展示してもOKで、展示する時に天地を決めています。」
人物のモチーフがあれど、抽象的なかたちに変容することによって、強固さのなかに、柔軟性と見る人へ問いかける余白が生まれているようです。
実際の展示では、どんな向きで展示されるのか…。
抽象的なモチーフは、どんなエネルギーを内包し、私たちに問いかけてくれるのか…。
さまざまな角度から楽しめるタナカさんの作品と展示に、期待に胸膨らみます。
ぜひギャラリーの空間で、体感し、ご鑑賞ください!
タナカコウシ 個展
2023年1月29日(日) ~ 2023年2月4日(土)
12:00~18:30 / 日曜 12:00~18:00 / 月曜休 / 最終日〜17:00迄